早いもので、もう9月に入りましたね。
お盆前の話になってしまいますが、先日はPLの花火、そして近所の恩智神社のお祭りと、かなり夏まっさかりを感じさせられました。
うちの子も浴衣を着て、お祭りに出かけておりました。その間私は仕事場の片付けで汗だくでしたが・・・最近は断舎利にはまっていて、どんどん物を捨てようとはしていますが、仕事のものなどはなかなか踏ん切りがつきませんね。しかし、最近24年間続けていた往診をやめました。ご迷惑をおかけすることではあるとは思いましたが、いろんな意味で限界かなと。
昔往診を始めたときは、クリニックに来れない方のさまざまな皮膚病のアドバイスができたらいいな、と本気で思っていましたし、ほぼ毎日自転車やオートバイを駆使してあちこち出かけておりました。近所の開業医の先生と道でお会いしたとき、その先生は麦わら帽子をつけて往診なさっていましたが、
「先生~開業医の死因の一番は何か知ってるか?」
「いいえ、知りませんが」
「それは往診中の事故らしいでえ、気をつけてな」
と言われたころが懐かしいです。ある寝たきりのおばあさんは結構な山の中に住まれていて、ほぼ放置されておられたし、盲目でもありました。
今ほど介護が充実しておりませんでしたので、通ううちに、なんだか毎日行かないといけない感じになってきて(だって床ずれの軟膏処置、ガーゼを変えたりを誰もしてくれていない!)肉体的にも疲弊するとともに、なんだか私の側が精神的に煮詰まってきてしまい、ある日「おばあさん、今日も来たよ!」と縁側から声をかけたら、おばあさん眠っておられたのか「あ、死神かと思った!」と言われたのをきっかけに私がプチ鬱にまでなってしまいました。(その方は、「こんな私など生きていてもしょうがないから早くお迎えが来てほしい」というのが口癖で)
頑張っても、どうにもならないような現実に若い私はちょっと絶望的になったりもしました。私もだんだん年をとり、そこまで思い込まないようにとあえて努力したりして参りました。
そのうち、国の仕組みがずいぶん変わり、私のような単独の科の医者が往診によばれることが減りまして(内科の先生などがかかりつけ医になりほぼ全部をみる仕組み)、数はうんと減りましたが、それでもチョコチョコ呼ばれておりました。
相変わらず老人さんたちは、いつ行っても、ほぼおひとりで横たわっておられまして、私が大声で「わたなべです!来ましたよ!皮膚を見に!」など叫んでも、何も返事は返りません。仕方なしに勝手に布団をめくると、おばあさんの体にネコが3匹も寄り添っていて、ネコたちに「寒いやんか」という感じでにらまれたこともありました。
しかし、その往診をもうやめました。
時間的にも体力的にも難しいなかで精神力だけで続けようとしていたのですが、ある現場は、科学的、医学的には寝たきりではない方が「ご自分は何もできない」というかほぼひきこもり状態になられていて、その方のために本当に多くの介護の方が尽力されていて、完全に介護に回る保険のお金とかそういうのを度外視した感じで負担がまわりに大きくかかってきている。
ある方のために、ほぼ24時間体制で監視体制になっている、がどうこちらから見てもそれが必要には思えない・・なかで、その方の皮膚をみてください・・というご依頼があったので、何度か行ったのですが、本当に私が行くことが何かのためになっているのか?大きく疑問視せざるをえなかったんです。介護の方たちの義務として皮膚のことを皮膚科にきいている。
しかしそのアドバイスを徹底させることもできないし、だれがこれで幸せになるのか、私が行くだけで、やはり税金もかかりますしね。本当に治したいけど、本当に行けないんです・・みたいな方には悪いなとは思ったのですが、治そうとされていない方の何かの枠組みの中に組み込まれてだけ、ということは、一体どうなんだろうと思わざるを得ません。
そのような感じで、私が悶々と悩んでいたときに、「オンライン診察」の話と出会いました。
このお盆明けから、オンライン通院システム「CLINICS( クリニクス )」というものを導入しました。
オンライン診察なら、患者さんに予約をして頂くだけで、私も往診に行く時間を使わずに、遠隔で診察できます。
通院が不可能な患者様も、待つことなく診察を受けてもらうことができます。
(※現在は「酒さ(赤ら顔)」「敏感肌」の方のみの対象とさせていただいています、ご了承ください。)
悶々と思い悩みながら、往診を続けていくよりは、これからの診察の新しい形の一つとして、オンライン診察を取り入れていようと考えてます。
まだまだ始めたばかりで、これからいろいろな気づきがあると思うので、別途ブログにも書いていきたいと思います。
少しでも、自分のエネルギーを活かせる方向となると良いなぁ・・・と考えています。